置賜地区高等学校社会科教育研究会 総会・研究大会

令和元年5月15日(水)13:30~

(於 伝国の杜)

 5月15日、米沢市の伝国の杜 置賜文化ホールを会場に、置賜地区高等学校社会科教育研究会の総会・研究大会が開催されました。地区内の公立・私立各校から40名以上の社会科教員が集い、研修を行いました。

 

(総会)

 総会では会務・事業報告、決算報告や発表などの役割の確認が行われ、今年度の事業・予算なども承認されました。地理部会は来年度、県での発表順が当たっているため、今年度1年間かけて研究を行い、来年度の春に発表することになります。

 

(研究発表)

 総会後の研究発表では、今年度、県での発表を行う歴史部会(日本史)より進捗状況や発表内容の途中経過報告がありました。概要は以下のとおりです。

 

地区としてのテーマ「科目横断的・総合的な日本史授業の実践」

 次期学習指導要領において、世界史と日本史が融合した「歴史総合」が設定されていることを踏まえ、両科目の内容を総合的に扱いながら、生徒が多面的・多角的な考察ができるような授業実践を試みたとのことです。

 

主な発表テーマ(個人ごとのテーマ)

〇 地理歴史「歴史総合」の展開について(仮)

 ・・・学校史料室保管の史料等も活用しながら、「なぜ〇〇なのか」という問いをもとに「考察」していく展開と、「どうしていくべきか」という問いをもとに議論しながら「構想」する展開とを考えながら、いくつかの「歴史総合」の単元の授業例を紹介。

 

〇 大正・昭和前期の女学校

 ・・・学校で発行される「周年誌」を紐解き、価値観や行事の違いなどを調査。同一の事項であっても、時代背景を踏まえた特色が見られ、教科書内容や現在の学校生活との関連を読み取ることができる。

 

〇 世界と日本とのつながりを考える「問い」

 ・・・生徒から発せられる「問い」によって授業を進めていく展開例を模索した。授業導入部分で「根源的な問い」を考えさせ、その後の展開部分では、「根源的な問い」を考察するために必要な「補助的な問い」をいくつか考えさせながら進行していく。最後に再び「根源的な問い」に戻り、本時の考察をもとに文章にまとめる実践を試みた。

 

〇 身近な事象と歴史をつなぐ授業実践

 ・・・日本史の授業を身近に感じ、様々な歴史的事象を自分事として捉えさせる仕掛けを取り入れた実践。毎回の授業の中に「クエスチョン」と題した時間を確保し、身近な地域や日常生活の風習などと関連している歴史的な事柄を取り上げる。生徒はグループ(または個人)で協力しながら問いを考察していく。

 

〇 無題(学習指導案の提案)

 ・・・「古墳とヤマト政権」の単元において、史料(宋書倭国伝)を用いて漢文の読み込み、地図を用いて地理的な条件の確認、世界史の教科書における該当箇所の読み込みなど、教科横断的な取り扱いを重視した実践。

 

〇 アメリカ社会と日本人移民

 ・・・「日本史A」において世界史との融合が模索できる分野を調査・研究。条約改正による関税自主権回復から現代まで繋がる内容を3時間扱いで構想。

 

(分科会)

 研究発表の後の分科会では、部会ごとのまとめ役選出や今年度の活動計画の話し合いが行われました。地理部会のまとめ役は、引き続き、米沢東高校・髙橋が務めます。よろしくお願いします。また、来年度の県の発表に向けたテーマは「探究心に火をつける授業実践」と決まりました。これから1年間かけて研究を進めていくことになります。


研修(見学)

 本日の最後は、上杉博物館の解説付き見学になりました。ちょうど、国宝である「上杉本洛中洛外図屏風」の実物が展示(他の時期はレプリカ)されている時期でもあり、学芸員の方から詳しく説明をいただきました。ただ、解説を聞いて理解したり、あれこれ思考したりするためには、その前提となる歴史の予備知識が必須だと感じました。

 これは授業でも同じかもしれません。生徒たちの探究心に火が付き、自ら動き出すためには、「なぜだろう?」と疑問を持つための知識や、それを調べるためのスキルの習得が必須なんだなと再認識したところです。